Oct 12, 2010
手遅れにしないようにデータ復旧
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2011年6月末に迎える米国のQE2(量的金融緩和第2弾)の終了は、リーマン・ショックへの対応で始まった異例の超金融緩和の効果や副作用などを見つめ直す時期に入りつつあることを示している。ただ、足下では米国経済の金融政策が緩やかに出口に向かい減速懸念も再燃しており、このまま米国の金融緩和が打ち切られて金融市場が平時モードに向かうのか、QE3(量的緩和第3弾)の幇助を必要とする状態が続くのか、視界不良の状態が続いている。一方で、欧州はギリシャ等の債務問題に揺れており、資源価格も乱高下するなど、依然として世界経済が抱える火種はくすぶっている。転換期にある現在、今後の投資戦略(ストラテジー)を各分野の専門家に聞いた。
みずほ証券投資情報部長でストラテジスト兼エコノミストの倉持靖彦氏は、「夏場のアメリカ株はもたもたするだろうが、ここから下押したところが格好の投資チャンスになる」と見通している。来年に大統領選挙を控えていることから、「来年の前半にヤマがくるような動きになろう」として、企業業績などを分析して銘柄を厳選したいと語った。
――当面の米国株式市場の見通しは?
昨年のこの時期と同じように、米国で経済指標が鈍化してソフトパッチ(一時的な中だるみ)懸念が出ている。ただ、昨年と比較して企業部門は強化されている。ここ2年間で相当の利益が出て、キャッシュフローも過去最高の水準に積みあがってきている。設備投資や雇用をしようと思えばできる体制にある。米国経済には「自律性」を取り戻すバッファーが出てきている。
ただ循環面をみると、リーマン・ショックの後、企業は急速に在庫復元などで生産増をやってきた。ISM製造業景況指数などが60%を超えるようなことにもなっていたため、一旦はスピードが緩んでもおかしくない。
今回の減速が、多少の踊り場ですむかどうかは、需要による。中期的な景気循環は強まってきているので、よほどの需要ショックが起きないかぎり、景気後退局面に陥るとは考えにくい。
まず、生産関連指標の減速については、いくつかのイレギュラーな理由が考えられる。一つ目は、東日本大震災によるサプライチェーンの問題。日本では従前のコンセンサスより1四半期速いくらい急速に回復している一方、海外へは後ずれで影響している。それによって、米国をはじめグローバルに自動車部門へ部品不足が波及している。2つ目は、竜巻と洪水の被害などの天候問題。3つ目は、暦の関係でイースターがずれ込んだ反動で雇用統計の数値が悪化した可能性がある。
これらのイレギュラーな影響は、日本のサプライチェーンの回復、天候の改善などによって解消される方向にある。
一方で、構造的な問題もいくつかある。1つは原油高が企業の利益率、仕入れコストに悪影響を及ぼしている。家計にもガソリン高で消費を圧迫している。フィラデルフェア連銀の報告でも、原材料価格の高騰に対して価格転嫁を簡単にできないという企業の声が上がっている。原油高が、輸送コスト、エネルギーコストを押し上げて景気にマイナスに響いている。
次に、新興国で景気減速感が強まっている。4月の輸出統計でも影響は出ていなかったが、ここ数年は新興国向けの輸出が先進国の経済を支えてきた。3番目は、財政政策。アメリカの連邦債務上限の問題で与野党が対立しているが、来年の大統領選を控えて財政面での下支えがなくなるのではないかという不安がくすぶっている。
原油は、ボックスに入ったように見える。上値については、G20等で商品市場の急騰は一段と問題視されている。規制の話がでてきたので、これまでの勢いで値上がり続けることはないだろう。一方で、中東・北アフリカ情勢が、混沌としていて潜在的なリスクがある。一部の湾岸諸国の間では、予算的に1バレル=90ドル程度が必要になってきているとの指摘もあるようで、簡単には原油価格は下がらない。
ただし、上昇の勢いが落ちてくるのであれば、年後半になれば、前年比の伸び率は落ちてくる。また、アメリカは天候要因で製油所の稼動が落ちたところがある。ガソリン価格の上昇は、1ガロン=4ドルくらいに値上がりしていたものが、3.5ドルくらいまで落ちてきそうだ。このように、原油価格が落ち着いてくるのであれば、ヘッドライン・インフレは景気にとっては中立要因程度に軽減されてこよう。
新興国は、もう少し利上げが続くだろう。中国は物価が9月くらいからはピークアウトしてくると見ており、利上げ圧力は徐々に減退するだろう。来年は指導部も変わるので、景気への配慮も必要で財政・金融政策のバランスを活用しながら、再度9%程度の成長スピードに復帰していくだろう。ブラジル、インドも利上げが必要なインフレ率にあるが、景気が潜在成長率程度に減速してきていることもあってインフレも落ち着き、ソフトランディングの方向性が見えてきた。
最後の財政問題だが、景気が減速気味なので、昨年末に導入した給与減税を拡大して延長すべきという議論が出てきている。財政再建は中期的に必要があるが、来年に大統領選挙を控えている中、引き続き中堅・中小企業、若年層の雇用は厳しい状況に変わりがない。従って、景気には相当配慮した財政運営をするだろう。また、QE2は6月末で終わるが、金融緩和は簡単には引き締めに転じられないだろう。利上げは、来年の年後半になるのではないか。可能性は限定的だが、場合によってはQE3という選択肢も保持しているよう。
このように市場の懸念材料を一つ一つ検討していくと、当面は、もたつくだろうが、高値から20%以上下落して弱気相場入りまでは至らないだろう。また、バリュエーション面も落ち着いている。
――夏以降の投資戦略は?
夏場のもたつき期間が、投資チャンスになると考えている。季節的な傾向として9月−10月は株価が安いという傾向がある。また、大統領選挙の年のパフォーマンスは悪くない。特に前半が高い。今年の秋までに拾っておけば、来年の前半で利益が出る可能性があるだろう。2013年を展望すると、新政権の1期目に増税など財政再建策が強まることも考えられるので、来年の前半が当面のヤマになろう。
具体的に注目される銘柄群は、当面は、売られにくいもの。グローバルな消費財関連で、新興国の内需を取り込める銘柄がしっかりしていくだろう。世界的に名前が通っているようなブランド力の強い企業群だ。また、ヘルスケアの分野も医療用機器や検査機器などで、新興国にも通用するような分野は面白いと思う。
ITは注目できるのだが、7月の決算発表を見て内容が好調な銘柄を選定することや、川下よりもモバイルやクラウドのセキュリティなどインフラ周りに注目したい。景気敏感株は値動きも大きいので決算を通過して、景気循環の回復が確認されたら、チャンスになるので、企業業績や景気指標を十分に見極めていきたい。
また、農産物関連は長期的に魅力がある。農産物は需要に供給が追いついていない。種子、肥料、農業機械は引き続き強い需要があるだろう。(編集担当:風間浩)
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